研究概要 |
昨年度に引き続き行った高校生に対する質問紙調査データの分析により、個人特性としての「あいまいさへの不寛容(あいまいさ耐性の低さ)」が、疑似科学を中心とした超常信奉に影響を与えること存詳細に明らかにした。これによって、クリティカルシンキングの要素として、あいまいな事態に対する態度が果たす役割を実証的に示すことができた。特に「あいまいさへの不寛容」が、占い迷信などの信奉に直線的な正の相関を示すことや、あいまいさへの態度を構成する因子によって、こうした関連性は異なることも明らかにされた。これら一連の研究成果は、当該年度の日本心理学会第73回大会にて発表し、またJournal of the Japan Skeptics誌(18,4-12)にて公表した。 また、概念間の潜在的連合を用いて疑似科学信念の構造を解明する手法として「感情誤帰属手続き(AMP)」を用い、血液型性格学に対する信念測定実験を大学生に対して行った。しかし、測定方法上の諸問題が解決できなかったため、明確な結果には至らなかった。潜在的認知に関する実験的測定法を活用して質問紙調査を精緻化することが今後の課題となる。 研究計画最終年度として、これら一連の研究成果をもとに、疑似科学に対処するクリティカルシンキング概念のありかたについて考察を行った。これらはクリティカルシンキングにおける認知心理学的な概念の応用の重要性に着目したものであり、22年度に図書として出版予定である。
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