研究概要 |
『濃尾地震』とそれを引き起こした『根尾谷断層』は,大地の運動を理解する理科教材としても,防災教育の教材としてもきわめて貴重な素材である。それらに関して,小・中学校教員に理解できる平易な内容のビデオ画像教材を提供するとともに,学習単元の教材として動画教材の役割を実証的に検証することを本研究の目的とした。 学部1年生向けの野外観察実習『濃尾地震と根尾谷断層』において実際に現場で説明している内容をビデオ撮影した画像を中心に臨場感をもたせた実物教材として編集し,単元教材を扱う現場の教員向けに,それらを理科教育の基本的姿勢に対する教員向けメッセージとして,『根尾谷断層』という教材を通じて「自然の脅威」に偏る観点ではなく,「自然保護・保存」あるいは「自然の恩恵」の観点から理解する画像を作成した。 それらをもとに,新学習指導要領における中学理科第2分野の学習単元「大地の成り立ちと変化」・「自然と人間」を想定した具体的なビデオ教材用シナリオを実際の授業展開において検討し,生徒ならびに担当教員の評価を通じて検証した。ただし,実際の単元構成に即した授業展開においては,『根尾谷断層』という対象が動かないこともあり,動画教材が単元全体で必ずしも有効に機能する手段ではなく,静止画像を中心とした教材提示でも十分に効果が読み取れるとの評価が得られ,動画教材は導入部等での活用に有効に機能していることが明らかとなった。
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