研究課題/領域番号 |
19500741
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
村田 隆紀 京都教育大学, 京都教育大学, 名誉教授 (10027675)
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研究分担者 |
谷口 和成 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90319377)
内村 浩 京都工芸繊維大学, アドミッションセンター, 准教授 (90379074)
笠 潤平 香川大学, 教育学部, 准教授 (80452663)
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キーワード | カリキュラム研究 / 高大連携 / 物理教育研究 / アクティブ・ラーニング / 誤概念 / 公開講座 |
研究概要 |
本研究では、これまで行ってきた大学と高校の教員による継続的な研究会活動の成果を基礎として、コンテクストを基盤とした物理カリキュラム全体やIT機器活用の実験法を学んで教員の研修に活かすとともに、その内容を基に、高校や大学の初年次教育で実践できる新しいカリキュラムを開発することを目的としている。そのカリキュラムを開発するにあたり、本年度は、近年アメリカを中心に展開されている、Physics Education Researchの代表的な教材(カリキュラム)「Active Learning」の実践的検討を中心に展開されている、Physics Education Researchの代表的な教材(カリキュラム)「Active Leaming」の実践的検討を中心に研究活動を行った。この教材は、生徒の持つ誤概念を明らかにしつつ、IT機器の利点を積極的に用いた生徒と教員との双方向性の授業を通して、それらを改善していくという特徴がある。研究において具体的には、授業方法・展開とその効果について上記の研究会で実践的に検討し、昨年8月に2日間にわたって、高校生・大学生を対象とした動力学分野の公開講座を開催して追試し、日本での同様の授業方法の利用可能性を検討した。特に、公開講座を通して、生徒・学生がどのように誤概念を克服し力学の概念を理解したかを具体的に分析し、日本の力学教育の現状と比較しながら日本での同様の方法の導入の可能性について検討を行った。その結果、授業展開の要所で設定されている徹底した「予想(グラフを描くこと)と討論」により生徒の持つ誤概念が生徒・教員両者に明確になり、それを用いたその後の実験やさらなる討論を通してその誤概念を変えることができることが、この教材(カリキュラム)の最も特徴的なことであることが明らかになった。その意味でこのカリキュラムは、物理既習者の概念定着を図る上では大いに役立つと言える。換言すると、物理の未履修者に対して最初から力学を教えるカリキュラムとしてこのまま導入するのは難しく、内容を十分理解した上でのスタイルの改変を行う必要があることも明らかになった。
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