研究課題/領域番号 |
19500744
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三枝 誠行 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80135962)
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研究分担者 |
小野 文久 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00005406)
山下 雅道 岡山大学, 宇宙航空研究開発機構, 教授 (60107480)
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キーワード | 極限環境耐性生物 / 宇宙環境 / オニクマムシ / コケ類胞子と茎葉体 / 真空 / 超高圧 / 中高校生の教材 |
研究概要 |
人類が宇宙に進出し、宇宙船内あるいは衛星や惑星上で生活するために必要な環境を模索する試みは益々重要になっている。地球上の多様な生命の中には、超高圧、超低温、真空、強力な放射線などに強い耐性を持つ種類(極限環境耐性生物)がいることが報告されている。このような極限環境耐性生物の耐性限界や耐性機構に関する研究は、宇宙科学の根本的な目的と深く関係し、人類が宇宙環境を利用するのに大いに貢献する。 極限環境耐性生物は宇宙環境利用という観点から研究できる一方、中学生や高校生の理科教材としても大いに利用価値がある。耐性限界は、実際に宇宙空間暴露することで知ることができるが、地球上でも人工極限環境を設けて研究できる。今までは、極限環境耐性があるとされた生物でも、実際には短時間(30分程度)置いただけで、どれだけ生存したかを調べるという研究が主体であった。そのため、宇宙環境に匹敵するような人工極限環境に長期間暴露し、生存率や繁殖率の違いを見た研究はほとんどなかった。私たちは、オニクマムシ、コケ類胞子や茎葉体を使い、真空条件、窒素置換した1気圧の空気、および超高圧(7.5GPa)に暴露し、生存率を調べた。生存率は高校生や中学生でも調べることができる。その結果、コケ類胞子と茎葉体に非常に強い耐性があることがわかった。さらに、この研究は中学高校生の課題研究等にも十分利用できることも明らかになり、実際に研究を進めている高校も現れている。極限環境耐性生物の研究を通じて、中学生や高校生が、宇宙空間に匹敵するような極限環境に長期間耐えられる地球型生命は存在するのか。もしいるとすれば、それは極限環境に対していかなる防衛機構を保持しているからなのかを考察できれば、宇宙に関する関心が一層高まることが期待される。
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