研究課題/領域番号 |
19500746
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
高木 由美子 香川大学, 教育学部, 准教授 (50263413)
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研究分担者 |
西原 浩 香川大学, 教育学部, 教授 (80036029)
佐々木 信行 香川大学, 教育学部, 教授 (60170685)
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キーワード | マイクロスケールケミストリー / 研修事業 / インターネット |
研究概要 |
理科離れや、理科基礎科目の学力低下は大学に入学する以前に顕著化している。効果的な中等教育改革を行い、理科好きの生徒の数を増やすと共に、大学の基礎課程終了時までに専門教育を受けるのに必要な気力、学力を養成するためにはどうすればいいだろうか?着目したのはマイクロスケール実験である。マイクロスケール実験とは単に実験の規模を小さくしたものではなく、コンセプトそのものをとらえ直すものである。従来の実験室や実験器具は必要でなく、どこでも実験することが出来る。現場で導入する際に、特筆出来ることは、使う試薬量が少ないため、実験に伴う事故が軽減でき、実験廃棄物を極少で抑えられることである。現在、初等・中等教育現場で行われている実験はスケールが大きいことが多く、廃棄薬品の問題は無視できない。そのため、実験を行わずに説明だけで済ませてしまうことも多いという声を聞く。しかし、生徒が自ら手を動かし実験をすることは理科教育の基盤である。マイクロスケール実験は実験結果を生徒が素早く確認することができるとともに、実験スケールが小さいため、適切な教材キットあるいは教材マニュアルさえできれば、多くの教師が容易に導入できる。一方、香川県教育委員会では、教員研修で海外視察研修を行っているが、予算削減の昨今、幅広く国際交流事業を展開することは困難である。そこで本研究では、米国コロラド州立大学のトンプソン博士に協力いただき、我が国の初等・中等教育現場の教員が容易に導入できるマイクロスケール実験を合同で開発し、世界初のインターネット回線を用いた太平洋を越えたマイクロスケール実験授業を同時開催し、地域貢献に寄与することを目的とする。トンプソン博士は、マイクロスケール実験の米国のリーダーたる存在である。欧米ではマイクロスケール実験に対する理解は深く、全米の高等学校では既に半数以上、オックスフォード大学やUCバークレー校などでもマイクロスケール実験は導入されている。また、タイや韓国などアジアでも数多く導入されている。日本では、東北医療技術短期大学名誉教授の荻野和子先生らのグループが先駆的なお仕事を展開されているが、日本の小中高および大学で定常的にマイクロスケール実験を取り入れているところはまだまだ少なく、香川県では全く行われていないのが現状である。そこで平成19年度は、小中高及び大学での授業内容を再検討すると共に、マイクロスケール実験を日本で展開する場合について実際に香川に来て頂いた現状調査及び研修事業を行って頂いた。本研究を進めることにより学部学生の科学的知識及び意識改革を行い、香川県教育委員会との連携強化、アメリカコロラド州の高等学校教員との交流、環境に優しいマイクロスケール実験の普及を図ることが出来ると期待している。
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