研究概要 |
本研究の目的は,中学校等の教科書でバイオマスが盛んに取り上げられているにも拘らず,それに関する実験が全く掲載されていないことに鑑み,植物のバイオマス生産に関する基礎的な実験を行い,バイオマスに関する効果的な理科教育指導プログラムとその教材開発を行うことである。具体的には,中学校の理科(第2分野,生物)や,高等学校の生物Iの授業で,イグサの光合成に関する実験やサトウキビを用いたバイオエタノールの生産に関する教材・教具,実験器具の開発を試みる。 20年度においての成果は以下の2点である。第1点は昨年度からの継続として,イグサを材料とした乾物生産を解析する目的で,模擬的なイグサ群落を作出し,群落の光透過率を測定した。イグサの他にもセイタカアワダチソウやキクイモなどと比較調査を行ったが,イグサの吸光係数はK=0.12となり,極めて効率の良い受光体制が明らかとなった,この調査の成果は,日本科学教育学会において発表した。次に,サトウキビを活性酵母やドライイーストで発酵させ,中学校現場でもエタノールが抽出できるバイオマス教材を開発した。このキットを用いて本学附属久留米中学校において授業実践し,教材としての有効性を検証した。その結果,授業前後のアンケート調査により,身の回りの環境やバイオマス資源などを身近な問題として捉え,環境やエネルギーに関する認識を深めることが確認できた。この成果は,日本科学教育学会において発表を行うとともに,現在,日本理科教育学会の「理科教育学研究」に投稿中である。
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