研究概要 |
本研究では,「グラフ発見学習」の研究成果を基に児童・生徒のグラフ認知特性を生かした小学校高学年から中学校3年生まで適応可能な理科数学融合カリキュラムの開発を目指し研究を進めている。 平成20年度は次の具体的計画のもと研究を進めた。 1)小学校教師,中学校の理科・数学教師を対象にしたグラフ学習に関する意見調査 平成19年度に試作したWebによる調査問題では内容分析について不十分な点が残ることが判明したため,本学部附属学校の理科教師を対象に意見調査を行い,生徒対象の調査問題を作成した。 2)中学校に在籍する生徒を対象としたグラフ観についての意識調査と分析 1)とこれまでの研究成果を基にして,実験計画段階と実験データ処理過程とのグラフ利用について比較分析を行う質問紙を作成し,中学生230名を対象に2回調査を行った。調査結果の分析より実験計画段階では半数以下の生徒しか,グラフを利用することを記述できず,また実験結果からグラフを作成し関係性を考察する時,利用できないグラフを用いる生徒の割合は学年進行とともに低下するが,変数を連続量として座標グラフを描いた生徒の割合は3年生でも半数程度に留まっていることが明らかになった。一方,変数を連続量として座標グラフを描いた生徒の中で,実験計画段階にグラフ利用か比例関係に気づいた生徒が占める割合は,学年進行とともに増加していた。これらのことより,実験に関係する独立変数と従属変数の関係(比例,反比例等)を実験段階から予想し,実験計画作成時にこれらの事柄をグラフや文章等で記述することが出来るようになれば,実験結果の考察時にも変数を連続量として扱うためのグラフを適切に選択し,記述することが可能になると考えられる。
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