小学校理科教育において、観察・実験とともに、技術的な要素をふくんだものづくり・工作が重要であるにもかかわらず、現在の教育課程では取り上げ方が希薄化している。せいぜい、学習指導要領小学校理科編で、"内容の「B物質とエネルギー」の指導に当たっては、3種類程度のものづくりを行うものとする。"(3年)とあり、4〜6年では「2種類程度」になっているという状況である。主に工作類が「図画・工作」に取り上げられているが、理科との関係は弱い。次期学習指導要領では理科の授業時間が増加し、内容も少し増えたが、技術的な要素をふくんだものづくり・工作については現行習指導要領同様弱いままのようである。 本研究は、まず、わが国のこれまでの理科教育を振り返り、諸外国の理科教育で、とくにサイエンスと技術的な内容を統合したり連携したりしているカリキュラムから、ものづくり・工作で現在でも有効性のあるものを選び出し、それらを検討する中で、ものづくりを効果的に組み入りたカリキュラムを作製したい。そのために、本年度は小学校理科で有効と思われるものづくりを列挙的に取りすことをした。また、その中でとくに「モーターづくり」教材の検討を行った。モーターづくりは、現在、クリップを支持台にして、何巻きかのコイル回転子にした「クリップモーター」が教科書に取り上げられている。クリップモーターづくりは、ものづくり教材として、電流の働きを理解するのに適したものであると再確認することができた。クリップモーターづくりは少し改良を加えたものも製作とてみた。 次年度は、さらに、検討するものづくり教材を増やし、研究協力者として小学校教員10名ほどをお願いし、さらに具体的に研究を進めたい。
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