研究概要 |
地域のリーダー育成のためには伝統産業・技術への理解・普及も必須となる。藍草の特徴,徳島における「すくも」生産の盛衰,藍染に関わる徳島県と他地域との現時点での交流等を概観した。また津軽の伝統刺し織物である「こぎん」の物性と,徳島の伝統技術である「藍染め」による綿布の物性変化を,川端の方法(KES)によって検討し,大学教育の教材化をはかるための基礎データを求めた。 明治時代に作製された古作「こぎん」の曲げ特性,せん断特性,圧縮特性はそのほとんどが現代代使用されている220種類の婦人服地のそれぞれの平均値よりも大きかった。古作「こぎん」の表面は比較的滑らかであった。麻織物によこ方向から綿糸を刺すことによって,たたて方向とよこ方向の異方性が減少した。綿糸を刺すことによって,保温性が僅かに増大するのに対して通気性は著しく減少した。また磨耗強度も顕著に減少した。 藍染めの反復染色回数が小さいときは毛羽立ちが不均一であり,摩擦係数が大きくなるが,回数が多くなると毛羽立ちが平準化されて摩擦係数が減少する。引張り仕事量,引張り強度や磨耗強度の検討から,藍染めは綿繊維の構造を変化させることがわかった。熱伝導率や接触冷感は藍染めによって減少した。 染色加工学の授業に藍染め体験を組み入れ,事後の態度変容をエゴグラムやアンケート調査によって検討した。この調査は対象人数も少なく予備的なものであり,授業を工夫しながら次年度以降にリーダー育成のための本格的なデータを収集する予定である。
|