研究概要 |
本研究の目的は、話者の声を0.2秒程度遅らせて話者自身の耳に戻す聴覚遅延フィードバックと話者が他人の声をほんの少しの遅れ時間で声に出してオウム返しを行う同時復唱がともに話者の発話の流暢さを乱すという類似性に着想を得て、心理学的な作業記憶の概念と研究代表者が行ってきた神経科学的な計測アプローチをベースとした言語運用能力養成システムの開発を目指すところにある。そのためには、両者に共通な客観的指標を見つけ出して、それを利用することが必要なる. 本年は、1)脳波測定により英語の同時復唱を行っている状態での脳波測定を行った.律動成分中のアルファ帯域(8-12Hz)の大きさが同時復唱の開始と共にどのように変化するのかを調べた結果、復唱開始前の大きさを基準とすると数分の一までに減少することを確認した.復唱課題の終了と共に元のレベルまで回復することから課題との関連が示唆された.2)f-MRIを用いて、通常の発話と聴覚遅延フィードバック時の発話が脳内活動として観測するとどのような違いが生じるのかについて検討を行った.本年度中は、使用しているMRI装置の制約により十分な精度の結果を得ることができない結果となった.課題のさせ方についての試行錯誤を行っているところであり、次年度では新しい結果を得ることを目指している.3)DAFの要素を取り入れた言語運用能力養成システムを構築するための、基本的な構成の検討を開発した.次年度末までには対外発表を行い,その評価を得る予定である.
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