研究初年度の平成19年度は、主に機材の整備と資料音声の録音、および関係学会の動向調査を行った。 教育学部4年生学生2名による模擬授業(フリースクールでの授業のリハーサル)の音声を収録した。ヘッドセット型マイクロホンとラベリア型マイクロホンの両方を装着し、収録音声の品質。話者の装着感、および生徒役で参加した学生から見た装着の違和感などの違いを検討している。収録した模擬授業は生徒役の発言が比較的少なく、静かな環境のもとで教師役が話すものだったため、現在のところラベリア型マイクロホンが、音質面でも装着感の面でも優位である。 収録した音声を5秒程度ずつの部分に切り分け、オープンソース汎用大語彙連続音声認識エンジンであるJuliusによる音素認識を試みている。2名の話者のうち、平穏に話すスタイルの1名の話者について、おおむね良好な認識結果が得られる見通しである。しかしながら比較的表情豊かに話すスタイルのもう1名の話者では、声の大きさの大きな変化や、発話速度の大きな変化により、認識に困難が予想される。この作業は次年度も引き続き行う。 関係諸学会に参加し、研究動向を調査した。平成19年度は教育方法学会、日本教育工学会、情報処理学会コンピュータと教育研究会、情報システム教育学会に参加した。教育系の学会で音声分析を取り入れている例は比較的少なく、新たな話題・視点として発表することも可能であるとの感触を得ている。 平成19年度は、音声の収録に学生の協力を得たが、既に予定されていたリハーサルに参加して収録したため、すべてボランティアでの協力であった。このため平成19年度は謝金を必要としなかった。しかし次年度は、評価のための込み入った聴取実験も予定しているので、被験者への謝金が必要となる予定である。
|