本研究は、重度視覚障害者がWindows上で動作するプログラムを独力で設計・開発・完成できるようにするための支援システムを構築するものである。また、図形的な対象の処理を伴う実践的なプログラミングの方法を非視覚的に学習できる環境を、その支援システムを中核にして整備する。これらの実現により、重度視覚障害者が自身の情報環境の改善に主体的に取り組めるようになり、学業や職業での可能性が拡大することが期待できる。 前年度までに、重度の視覚障害者が点字出力と音声読み上げによるアクセス環境でJavaとC#によるプログラミングを行える支援システムを開発し、そのうちのC#用システムの実用化に向けての準備を行った。最終年度の平成21年度には、具体的な活用ノウハウの構築や関連リソースの整備とともに、システムの機能を充実するための開発を行った。その概要は以下のとおりである。 1.活用ノウハウの構築:本システムを介して視覚を用いずに図形の描面やGUI画面の作成をC#で行う方法を検討し、実用性のあるノウハウを構築した。 2.リソースの整備:重度の視覚障害を持つ学生と社会人(情報系就業者)に、本システムを用いてC#プログラミングを継続的に学習させ、それを通じて、プログラミングの指導方法を確立するとともに、教材等のリソースを開発・整備した。 3.機能の充実:上記の取り組みを通じて明らかになっか、本システムの機能の充実に関する必要性に即して、情報処理用記号体系で点字印刷を行う機能を新たに開発し付加した。
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