研究概要 |
本研究は,Web型教材コンテンツの学習支援機能や着想を系統的に整理し,それらを念頭に置いたWeb型教材コンテンツを新たに開発し,実証授業によって学習効果を評価することを目的とする。本年度は,次の研究を実施した。 (1)ICTの機能を活用した最近の国内外のWeb教材コンテンツを選定し,それらの学習支援機能や着想を調査して系統的に整理し,これまでの調査結果と統合した。具体的には,Web教材コンテンツの構成,内容,展開の技法などを調査し,教育的な観点での特徴,ネットワーク(Web)を活用したソフトウェアとしての特徴,内容の展開方法の特徴,マルチメディアによる効果,含まれる教授様式,学習指導の制御様式,日本の教育への応用の可能性,サイトの概要や印象などの観点で着想を系統的に整理してとりまとめた(計216件)。 (2)新たなWeb型教材の開発とその効果を明らかにするため,情報通信ネットワークにおける基本的な情報処理の仕組みの学習を支援するためのWeb型教材コンテンツの開発と改善を行った。昨年度に試作した教材にネットワークシミュレータ部を新規増設し,ネットワーク上のパケットの一連の流れの観察や手動によるパケットの伝送制御を学習者自身が操作できる等の着想を組み込んだ。そして,学部学生を対象とした実証授業を実施した結果,ネットワーク上のパケットの伝送に関する問題の正答率は,事前テストでは0%であったのに対して事後テストでは100%と高い正答率が得られた。また,意識調査では,質問項目(データ転送やパケット送信の操作ができた,データの流れをよく考えた,ネットワークの仕組みが分かった,楽しく学習ができた,興味が高まったなど)に対して,80%以上の学習者が肯定的な意識を持ったことがわかった。これらにより,開発したWeb型教材コンテンツに組み込んだ着想について,学習の効果が認められることがわかった。
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