研究概要 |
H19年度以前に予備検討を行った試作教材1を完成させた。教材1は、200名規模のIT企業がビジネス領域拡大のために提携先を探す物語で、提携企業を選定する際の実践的な知識を修得する目的で作成した。 教材1を用いて、一橋大学経営学修士コースの学生および商学部3,4年ゼミ生に対して模擬研修を行った。また、12月8日に社会人(国際プロジェクト&プログラムマネジメント学会のメンバー)対する研修を行った。学生対象の研修では、マンガによる教材が仮想経験のツールとして有効であることがわかった。社会人対象の研修では、上記の有効性に加えて、物語の背景と今後の展開に関して異業種経験者の間でディスカッションを行うと、新しい発想の誘因効果があることが確認できた。教材1を用いて、受講者の気づきのメカニズムと判断材料が受講者の特性にどのように関わっているかを調べるデータを収集した。 予備検討時代に得たアドバイスと、教材1による研修結果を反映させたシナリオを作成し、試作教材2を完成させた。教材2は教材1の続編に位置づけられる物語で、企業内の戦略会議の進め方と、若手と管理職クラスのコミュニケーションギャップが表現されている。教材2を用いて、現実のIT企業社員を対象に模擬研修を行った。同一企業の社員でも所属部門が異なると物事のとらえ方が異なることが分かり、通常業務では気づかないコミュニケーションギャップを浮き彫りにすることができた。 上記に関する学会研究発表を6件行い、学会論文誌(査読有)に1件掲載された。H20年度は、教材1および教材2を使った研修を継続して教材の有効性を示すデータの蓄積を図るとともに、新たな教材の開発を行う。
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