研究概要 |
1教材評価のためのデータ蓄積 下記に示す5回(受講者合計:59名)の模擬研修を行った。 (1)旺文社の新入社員9名:教材1,2(2008/5/5),(2)国際P2M学会会員20名:教材1,2(2008/8/8-9),(3)一橋大学商学部4年生10名:教材2(2008/11/29),(4)中央大学ビジネススクール学生10名:教材1(2009/2/1),(5)東京海洋大学学生+社会人10名:教材3(2009/3/23) 前年度までの実施分をあわせると合計10回(総受講者数:108名)の模擬研修を実施したことになる。研修終了後のアンケート調査および参与観察により、ナラティブアプローチを用いたマンガ教材による研修は、受講者に対して「気づき」と「想像力」の助長効果があるという示唆が得られた。 2教材3の開発 東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科の小川美香子助教および中央大学大学院戦略経営研究科の折田明子助教と共同研究を開始し、キューピー株式会社のQITECシステムのビジネスケースを元に新しい教材を作成した。同社には、工場で働くパート従業員の不安の声を受け止め、試行錯誤によって設備機器を改善する技術担当者や、彼らを支援する上司が存在した。パート従業員の不安解決の目的で改良した機器を、他部門との対立や取引先との対立を協働関係に変化させ、全社の生産管理システムに発展させた事実をベースに物語を作成した。現場で問題発見・解決を行うために気づくべき情報を、物語シナリオとマンガ表現の中に埋め込み、教材を完成させた。 3気づきのメカニズムの研究 協調フィルタリングを応用し、自分と類似度の低い協調学習者に高い重み付けをする他者視点推薦手法を提案した。教材1を用いた評価実験結果に他者視点推薦手法を適用したところ、自分と異なる経験を持つ者の意見が、新たな視点の獲得に有効に働くことをうまく説明することができた。
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