本研究の目的は、インターネットを利用したイーラーニング型の自習教育における最大の問題である「学習を継続させるための方法」について、1つの解決方法を与えることである。これを踏まえて、昨年度作成したイーラーニング環境とSNSを、学習内容への議論や分からない点を互いに教えあうといった、学習すること自体に積極的に関わらせるような仕掛けとして授業に活用した。 実際に、活用した授業は、研究分担者である鈴木恒雄教授の金沢大学共通教育課目における授業「情報発信リテラシ」と「一歩進んだPC活用講座(前期、後期各一回開講)」である。昨年度の研究結果として、「学習コミュニティを作らせる」ためには、その前段階として、システム利用率を高め、学生がこのシステムを利用すれば有効であることを実感できる環境構築が必要ということが分かっており、これを踏まえて、各授業において、学生に対する利用案内のアプローチ方法を変えてみた。その結果、コミュニティをある程度以上活性化させるためには、そこを利用して各種情報を、きめ細やかに発していく存在が必要であることがわかった。これは単に日記を毎日書き込むというだけでなく、学生が求めている情報を発信していくことが重要な要素であると推測できる。さらに学生の中に、とにかく毎日、日記を書き込むようなヘビーユーザーが存在すると、それ以外の学生は、いわば「引いてしまう」状態となり、利用頻度が損なわれてしまう等の運用結果として、各種結果を得ることができた。このように、本研究の目的につながる学習を継続させるための学習の場の作成として、有益なデータを得ることができたのは、大きな成果である。
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