研究概要 |
次年度以降の検討に必要なデータ収集と基礎的検討を行い,先行研究で構築した自由対話訓練システムへのFocus on Form戦略の組み込みを開始した。具体的には以下の通り。 1)日本語文法に含まれる文法的形式(Form)の抽出 Focus on Formの枠組みを用いるためには,対象言語である日本語が有する文法的制約を形式的に書き下す必要がある。語学教育の分野における検討では,英語やヨーロッパ言語についてのFormの抽出は進められているが,日本語に関しては体系的な整理が不十分である。そこで本研究では,日本語に含まれる文法的制約をFormとして整理した。 2)抽出された文法的形式の性質の分析 FonFにおける効果的な応答戦略を設計するには,各文法的形式の複雑さ,学習者の母語との差異などの性質を考慮する必要がある。そこで1)にて抽出されたFormを分析し,その性質に基づいて分類した。なお学習者の母語としては英語を想定した。 3)日本語教育の学習項目の調査とこれらに対応する対話状況の設計 文献に基づいて日本語教育の現場で実際にどのような学習項目に対して学習指導が行われているかを調査し,ここから本研究で構築するシステムで学習支援すべきものをリストアップした。さらにこれらの学習項目をロールプレイにより学習させるために適した対話状況を設計した。 4)誤り文例の調査 日本語学習者が犯しやすい誤文パタンを収集した。収集には市川「日本語誤用例文小辞典」凡人社(1997)などを行いた。
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