本研究は従来の工学と医学の枠を越え異分野の融合として研究開発を進んでいる。現状の鍼治療教育訓練の問題点を解決するために、本研究では鍼治療の医療分野に知能システム、メカトロニクスとコンピュータ情報技術を生かし、高臨場感のコンピュータ教育訓練システムの開発を目指している。本研究では下記の内容に絞って鍼治療教育訓練へ工学的な研究アブローチを行っている。 1)コンピュータ内に人体ツボモデルを作成し、鍼治療と対応したツボや経絡の情報を提示する。 2)人工現実感技術を用いた鍼治療教育訓練システムを構築し、教示情報の呈示を充実させる。 3)鍼師の操作情報、入鍼速度、力情報の測定および学習訓練の指標をシステムに確立する。 4)操作感覚を伴った訓練を実現するために力覚フィードバック装置の開発と構築を行う。 今年度では、鍼治療は高度な操作性が要求されているため、鍼治療の力情報を含んだ微細な操作がリアルタイム正誤判断できるように、鍼師の操作情報の取得および学習訓練の指標をシステムに確立することを行った。そこで、鍼師の操作力を取得するための実験装置を開発し、鍼治療の微細操作の動作(速度、刺入力)の測定と解析を行って、鍼治療の刺入速度と力の指標を定めた。教育訓練システムの提示情報として、視覚情報及び力触覚情報の同時提示が求められている。それを実現するため、システムに力覚提示と同時に視覚的な教示情報も充実させ、より実用的、有効な学習訓練システムの開発と構築を行った。そこで、教育現場や臨床鍼師との検討を重ねながら、より高臨場感と操作感の教育訓練システムの開発を図っている。
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