研究概要 |
高度に情報化された現代において,インターネット等の通信回線に接続されたコンピュータや,携帯等のモバイル端末を利用し,電子メールやチャット,プログやSNS等のシステムを使ったコミュニケーションであるCMC(Computer Mediated Communication)を行う機会が増えている。教育現場も例外ではなくeラーニング等の通信技術を利用した教育/学習の機会が増えており,学内・学外を問わずに,教師や学生(児童,生徒も含む)という立場の違いに関係なく,CMCは既に日常的なコミュニケーション活動になった。しかし一方で,CMCは誹謗中傷等のフレーミングと呼ばれる現象や個人情報の漏洩・暴露,Face to Faceの対面環境に比べて人間関係が希薄になるという現象等が問題点として指摘されている。現代のCMCは,もはや自己流や経験則に頼るのではなく,心理学等の科学的な根拠を踏まえて,戦略的にその能力を学習・訓練する必要がある段階であると言っても過言ではない。 そこで,本研究はCMCにおけるコミュニケーション活動,特にCMCにおける人間関係・対人関係の構築過程に注目し,そこでの心理等の科学的な根拠を実験や調査等で明らかにし,その根拠を踏まえてコミュニケーション能力を育成するための学習支援システムを構築することを目指した。 平成19年度は,テキストが中心になるCMC環境(チャット)におけるコミュニケーションを,3種類の情報に分類してから,筆者らの過去の実験(チャットを用いた個別指導の実験)において得られた実験データを再分析した。この分析結果を踏まえて,教師と学習者が人間関係を構築するために教師が配慮すべきポイントや,それらを踏まえて筆者らが新たにコミュニケーション方略を試作した。
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