研究概要 |
インターネット等の通信回線に接続されたコンピュータや,携帯等のモバイル端末を利用し,電子メールやチャット,プログやSNS等のシステムを使ったコミュニケーションであるCMC(Computer Mediated Communication)を行う機会が増えている。教育現場も例外ではなくCMCは既に日常的なコミュニケーション活動になった。しかし一方で,CMCは問題も指摘されている。現代のCMCは,もはや自己流や経験則に頼るのではなく,心理学等の科学的な根拠を踏まえて,戦略的にその能力を学習・訓練する必要がある段階であると言っても過言ではない。そこで,本研究はCMCにおけるコミュニケーション活動,特にCMCにおける人間関係・対人関係の構築過程に注目し,そこでの心理(感情や意欲,意思決定)等の科学的な根拠を実験や調査等で明らかにし,その根拠を踏まえてコミュニケーション能力を育成するための学習支援システムを構築することを目指す。 平成21年度(3年目)の研究活動において,平成20年度(2年目)に実施したテキストベース型CMCの活動における非言語情報の心理的な影響の調査実験で得られたデータの詳細な(多角的な)分析を行った。非言語情報の使用の有無は,コミュニケーション活動自体を活発化させるだけではなく,対人コミュニケーションにおける対人認知活動(相手に対する特性推論をポジティブにする,相手に対する印象形成をより詳細にする等)の効率を向上させていることが分かった。また,これまでの研究成果を踏まえて,非言語情報活用能力を育成するための学習支援システムの構想を行った結果,非言語情報活用に関する知識の提供はもちろんであるが,非言語情報と表現したい感性との一致・不一致の実態を調査して一種のデータベースを構築すれば,学習者の非言語情報活用能力を診断したり,非言語情報活用能力を訓練したり,非言語情報活用を支援することができるようになるとの結論に至り,非言語情報と表現したい感性との一致・不一致の実態を調査するシステムの設計を行った。
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