平成19年度は、文字による個人認証(筆者識別)と学習の効率化について検討した。筆者識別については、"謹賀新年"の4つの漢字と"あけましておめでとう"の10個の平仮名について、新局所円弧法(曲率による特徴抽出)による個人認証について検討した。特に、記入箇所に枠がある場合と無い場合、および、枠の大きさの違いから派生する識別率の変化を、漢字と平仮名の場合で検討した。枠の大きさは、9mm、14mm、18mm、と23mmの4種類、曲率を求める基準となる弦長を5ドットから25ドットまで4ドット刻みの6種類について検討した。その結果、枠の有無については枠有りで識別率が高い(特徴が出やすい)こと、漢字の方が平仮名よりも識別率が高いてと、円弧計算に用いる弦長は13ドットが適していること、および、枠の大きさ(文字の大きさ)は18mmが適していることを示した。 学習の効率化は、理解度予測システムの予備的な検討として行った。つまり、どういう学習態度が理解度向上に寄与するかについて検討することで、単にテスト成績のみからの理解度予測でなく、学習意欲の維持、および効率的な指導につながる可能性がある。つまり、学習の効率化は、学習に対する動機、意欲の維持が大切であり、自己モニタリングを行うことで、常に自己の状況を把握し、学習意欲を持ち続けることが可能となる。自己の状況(正解率)を常に把握させ、間違いを復習させるグループとそうでないグループとの間で達成度を比較し、自己モニタリングの有効性を確認した。単に成績から理解度を判定するだけでなく、意欲・態度を加味することで、トータルの理解度とするべき方針の妥当性を明確化することができた。
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