研究概要 |
本研究では,学習者の専攻領域における教材に対する「動機付け」の因子レベルの測定を行い,学習者の理解状態と教材の関連を統計的な分析手法によって解析して,教材の定量的な改善ができるe-Learning支援システムを開発し,その有用性を明らかにして学習者の理解状態と専攻領域に対応した効果的な教授戦略の実現を目的としている。2年間で得られた主な研究成果は次のとおりである。 (1)基盤研究(C)17500662の支援で開発したテスト機構,順序関係解析機構,関連構造描画機構によって導出された理解状態と,教材との関連を解析する関連分析モデルを設計した。本モデルの設計では,「動機付け」の因子間の関連構造を3Dで描画し,その関連を導出する3D可視化分析手法を提案し,本モデルを用いて教材解析機構を構築してLinaxサーバーに実装した。 (2)実際のプログラミング教育のデータを用いて,これら機構の結合テストを行い,e-Learning支援システムとしての操作性,利便性などの機能を評価した。 (3)実際の教育現場においてProseccingを用いたプログラミング教育を実施し,本e-Learning支援システムの評価実験を行った。本実験においては,ゲームと美しさに関する領域が異なる二つのプログラミング教材も開発した。 (4)評価実験で得られたデータと従来のe-Learningに関する知見によって,e-Learningにおける支援効果を評価した。その結果,学習フェーズの初期から中期においてプログラミング教材によって理解状態と教材の関連に有意な差異が生じることが確認できた。またARCSアンケート尺度によって,これら関連の詳細な解析が可能になることも確認できた。そして,学習者の専攻領域における教材の要因分析と,それに対応した教授戦略が提案できた。これらの成果については国内外の学会において発表を行った。
|