研究課題
本研究では事前研究期間2年を含め5年に亘り、日常における目標言語のインプットが少ない日本のEFL環境において音読・シャドーイング(SH)指導の4種のモードをどのような学習者に対し、どのように組み合わせればより大きな効果が得られるかについて、延べ1600名を超える学習者を対象に実証研究を行ってきた。結果、学習者自身がモデル音声と同時に発話するSHに、原稿を補助とするテキストSH指導法と音読を組み合わせたTSH指導法の有意性が確認された。最終年度は、聴解に至る前段階で必須、読解に至る段階にも関わる作動記憶内の音韻符号化の効率化に着目し、WBT利用の教室学習環境をTSH指導に組み合わせることが、音韻符号化の効率化に伴う音声知覚力の向上や、その上位の認知処理である読解や聴解にも影響を与えるのかについて、調査研究した。結果、学習者の外国語学習に対する学習コミュニティでの評価や他者に対する不安などの情意因子を抑え、音声情報が個別のペースで直接耳に届くWBT利用の教室学習環境が、TSH指導との組み合わせで、短期10週間では初中級の学習者の音声知覚力や初級者の読解力向上に有意に働き、初級者群では20週間でも音声知覚力向上への有意な補助となることが判明した。母語に比べ語彙力・文法力でも劣る外国語習得の場合には、複数の認知処理が並行して行われる読解や聴解において、母語の読解の場合に要とされる音韻処理の自動性の補助以外の要因も絡む。PCを「教える道具」から「思考の道具」へと捕らえ直し、PCが学習者の思考を効果的に支援する道具となる可能性を支持する実証データを得たことで、日本でのEFL指導研究に大きく貢献した。これらの結果を、国内外の学会で発表することで、内外のEF/SL研究者らとの議論を通し、WBT利用の言語教育推進にも貢献することができた。
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Proceedings of World Conference on E-Learning in Corporate, Government, Healthcare, and Higher Education 2009, ISBN 1-880094-76-2
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