研究概要 |
本研究の目標は、これまでの情報モラル教育が情報化社会のマイナス面を強調していたのに対して、情報モラルに関する判断力を育成するための「3種の知識による情報モラル指導法」と、多様な代替案の発想や自己責任などの考え方を指導し、問題解決力を育成するための「情報的な見方・考え方」を融合することによって、情報化社会のマイナス面に着目するだけではなく、プラス・マイナスを考慮した上での情報モラルの適切な判断力と、情報技術の活用への積極的な態度を同時に育成することができる指導法を開発することであった。 本年度は、「3種の知識による情報モラルの指導法」と、「情報的な見方・考え方」を融合して、情報技術のプラス・マイナス面やトレードオフを考慮しながら情報モラルの判断力と共に情報技術の活用に対する積極的な態度を育成することができる新しい情報モラルの指導法を開発した。指導法の中で重点を置いたのは、3種の知識の相互関係・枠組みを学習者に明示的に指導することと,情報技術には必ずプラスの効果とマイナスの影響があり,そのトレードオフ関係を議論させる点である。 指導効果を検証するために、教員を対象とした研修会で指導法としての評価を行い、首都圏の高校生500名程度を対象として、従来実践してきた指導法との効果比較実験を行った。これまでの情報モラル教育が情報技術の活用に関して消極的な態度を育成する可能性が高かったのに対して、情報技術のプラス・マイナス面やトレードオフを考慮しながら情報モラルと共に情報技術に対する積極的な態度を育成し、そのことにより「社会を健全に発展させる人材を育成する」ことにつながる新たな指導法を開発した。
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