本研究は、文献(書籍、論文、その他の図書資料)、および文書記録類(公文書、ドキュメント、データ等)を資料として、それらを読むことを通じて史実を再構成する、いわゆる文献実証の方法を採用する。その内容は、おもに、文献の収集と文書記録類の閲読である。 初年度となる本年度は、本研究の基礎となる文書記録類の現地ロシアにおける所在とアクセス方法の探究を軸に、資料収集に努め、次年度以降の研究の本格的展開に向けた見通しを確立することを目標とした。 まず、5月後半にロシア連邦モスクワ市において1週間程度の調査・研究旅行を実施し、現地のモスクワ国立大学物理学部、およびロシア科学アカデミー・自然科学史=技術史研究所の協力のもと、関連する文書記録類の所在とアクセス方法に関する予備調査を実施した。その後、9月に本格的な資料収集旅行を実施した。この出張においてはモスクワ市に所在する科学アカデミー文書館で資料調査を行ったほか、カザン市に出向き、現地で科学アカデミー・傘下諸研究機関の疎開先を見学し、そこで文書記録類の渉猟、摘記、複写に努めた。 また、現在、ロシアなどで出版があいついでいる、種々の史料集、種々の科学者の日記・伝記類、最近の資料公開をうけて新たに書かれた科学者の評伝、新たな政治史研究書を可能な限り収集した。収集された資料はかなりの数にのぼった。そのため、日本語がわかる在日ロシア人に、研究補助者として、収集した資料の整理、一部資料の抄訳の補助をお願いした。 研究成果の一部は2008年3月開催の西日本地区・ロシア東欧研究者集会で報告したが、論文執筆は来年度になる予定である。
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