平成20年度は、昨年度に引き続きオーラル・ヒストリーと史料の所在調査・収集を行い、得られた情報を整理した。 (1)オーラル・ヒストリー 喜多源逸および京都学派の関係者にインタビューして情報収集を行った。面談者は次の通り:櫟原四郎(元三菱化成副社長)、岡勝仁(大阪府立大学教授)、小辻義男・賢子(元日東紡)、小林四郎(京都工芸繊維大学教授)、宍戸昌彦(岡山大学教授)、富久登(富久力松元東洋紡社長子息)、永田親義(元国立がんセンター研究所部長)、野崎一(京都大学名誉教授)、野依良治(ノーベル化学賞受賞者・理化学研究所理事長)、諸熊奎治(京都大学福井謙一記念研究センター・リサーチリーダー)、荒木不二洋(京都大学名誉教授)。インタビューはデジタル録音し、それらをペーパーに起こした。 (2)史料の所在調査と収集京都大学文書館、同総合図書館、同総合人間科学部図書館、同化学研究所、同大学院工学研究科、同福井謙一記念研究センター、国立公文書館、国立国会図書館、東京大学大学史資料館、同総合図書館、同工学部図書館、理化学研究所記念史料室(埼玉県)、滝川市郷土館(北海道)、大和郡山市立図書館(奈良県)、カリフォルニア工科大学アーカイヴ(米国ロサンジェルス)等で、関連する一次資料(私文書・公文書・図写真等)及び二次資料(本・論文等)の所在を確認し、必要な資料を複写した。 (3)研究成果の整理と発表 喜多源逸と福井謙一の関係については、平成20年度化学史学会年会で研究成果の一部を発表した。また年度末の総括として講演会・ワークショップ「第2回:喜多源逸と京都学派の研究」を開催し外部研究者から批判と助言を頂いた。 本年度の調査から、喜多源逸の生い立ち、人物像、学問観、東京帝国大学および京都帝国大学における喜多の活動、弟子たちとの関係、講座の変遷、喜多と京都学派の国策科学プロジェクトの実態等がより詳細に明らかになった。
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