平成21年度は、昨年度に引き続きオーラル・ヒストリーと史料の所在調査・収集の継続したほか、データの整理・総括を行った。 (1)オーラル・ヒストリー 喜多源逸および京都学派の関係者にインタヴューを実施して、情報収集を行った。面談者は次の通り:喜多一男夫妻(喜多醤油株式会社社長)、喜多洋子・喜多一郎・喜多やす(喜多源逸子孫の母子)、鍵谷勉(京都大学名誉教授)、清水祥一(名古屋大学名誉教授)、山口兆(大阪大学名誉教授)、今西幸男(大阪大学名誉教授)。上記のデジタル録音した音声をペーパーに起こす作業を行った。 (2)史料調査と収集 京都大学・大学文書館、同総合図書館、東京大学工学部図書館、東京大学総合図書館、東京芸術大学図書館、マサチューセッツ工科大学アーカイヴ等の所蔵資料を調査し、必要なものを複写し入手した。また、日本大学図書館を通じ喜多関連の二次資料を入手して必要な個所を複写した。 (3)喜多の直接の後継者である櫻田一郎、児玉信次郎、堀尾正雄、小田良平、宍戸圭一、古川淳二、福井謙一、李升基らの関連文献を収集した。 (4)喜多の全著作物のリスト、「京都学派」の講座の系図、詳細な関連年表、文献表を作成した。 (5)喜多および「京都学派」に関して収集した情報データを整理、分析した。 (6)研究成果をまとめつつあり、今後も継続する (7)研究成果の一部を、2009年度の化学史研究発表会(化学史学会年会)、日本化学会年会時に開催された市民公開講座で口頭発表した。また、化学史学会の機関誌『化学史研究』に「喜多源逸と京都学派の形成」と題する論文を発表した。
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