研究課題/領域番号 |
19500867
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 敏也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60306074)
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研究分担者 |
澤田 正昭 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (20000490)
松田 典 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (70254836)
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キーワード | 炭酸カルシウム / 曝露試験 / 形熊 / 博物館 / 環境抑制 / 環境汚染物質 |
研究概要 |
収蔵庫内揮発物質が炭酸力ルシウムの微細構造に与える影響を調査するため、環境調査を行った博物館において顔料の曝露試験を開始した。炭酸カルシウム(原材料;カキ、ハマグリ、石灰岩)、朱、鉛丹、ベンガラ、緑青(粒度は粗、細の2種類)、群青(粗、細)、鉛白、蜜陀僧の計12試料(10種類)を用いた。試験は2007年10月から開始し、1カ月後と3カ月後の色差測定を行なった。蜜陀僧の変色が認められ、これはプレ実験として行なった曝露試験と同様の結果であった。現在、曝露した試料の形態学的調査、機器分析等を行なっており、解析中である。変色が顕著に認められた蜜陀僧は歴史的に使用の履歴が定かではなく、ここでは研究対象としない。ただし、反応性が高い指示薬として有効であると考えられるので今後も曝露試験には用いるものとした。炭酸カルシウムの変化は光学調査では認められなかった。 更に、ホルムアルデヒドや蟻酸、酢酸などの防カビ剤や収蔵庫内装材などからの影響を調査するため、高濃度環境での曝露試験を行った。 環境抑制装置の対象として酢酸を取り上げその除去方法の検討を開始した。調査の結果、小規模な博物館などでは恒常的な最適環境を提供するには資金的、技術的にも負担が大きいことが判明した。特に展示ケースにおいて、貴重な資料は短期間(2週間から1ケ月ほど)しか展示環境に曝されないことがわかった。そこで、博物館などとの協議を重ね、簡易に迅速に短期間の環境改善が可能な装置に必要なファクターを抽出し、その開発を開始した。
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