研究概要 |
四国の愛媛県1地点と九州の宮崎県5地点で鬼界アカホヤ火山灰を採取した。四国の試料は崖錐中に挟まれた火山灰で,採取時の産状は通常の粘土〜シルト層と異なり,未固着で脆いものであった。その残留磁化は不安定で,本研究の目的には適さない試料であった。九州の火山灰試料は,交流消磁に対し安定な試料であり,今までに蓄積してきた鬼界アカホヤテフラの測定結果(Dm=1.0°E,Im=52.2°,α_95=2.7°)と整合する結果が得られた。三成分IRMの熱消磁実験からは,試料中に含まれる主な磁性鉱物はチタノマグネタイトとマグネタイトであり,二次的な磁性鉱物はほとんど含まれていないことが明らかになった。したがって,今回得られた鬼界アカホヤテフラの磁化方位はテフラ堆積時に獲得された一次磁化であると考えられる。 ただし,鹿児島県内の測定結果の中には鬼界アカホヤテフラの平均方位から大きくずれるものがいくつか見られる。この原因が岩石磁気学的なものではないとすると,地殻変動等を反映したものかもしれない。これは今後の検討事項であり,興味あるテーマとなる可能性がある。 また,岡山・鳥取県と福井県において,広域テフラを挟在する堆積層で連続して試料を採取し,古地磁気測定を行い,地磁気永年変化を追究している。どちらも大山倉吉テフラより上位の地層であり,岡山・鳥取県では主に大山上部火山灰層から,福井県では河成段丘堆積物の大山倉吉テフラより上位の層準から試料を採取した。
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