研究概要 |
1. 前年度に実施した, 山形県内の小・中・高校における防災教育の現状に関するアンケート調査結果について, その前年度(本科研プロジェクト以前)に実施した仙台市内における同様アンケート調査や既存調査事例などと比較しつつ, 分析を継続し, 学会発表および論文として成果を発表した。主な結果は以下のとおりである。(1) 山形県内の学校においては,他県の調査結果との比較からも, 防災教育が積極的に実施されているとは言い難い。とくに小学校では自然災害と同等かそれ以上に防犯が切実なものとして捉えられている。これは近年大きな自然災害の経験に乏しいことなどが原因と考えられる。(2) 防災教育にあてる時間の確保が難しいとの指摘が多いことや, 適切な教材や教職員の研修への要望が強いことなどは, 他の調査結果と共通している。(3) 防災教育の時間確保の制度的改善に加えて, 多くの学校で実施可能な時間数の少ない防災教育プログラムが求められている。 2. 仙台市太白区中央市民センター「学びのコミュニティ」において防災ワークショップを実施した。このうち「防災探検隊で地域学習」では, 小中学生による現地調査と地図作りを中心とするワークショップを実施した。そこでは, 新旧地形図の比較やインタビューによる地域の変化, 地域の地盤の理解を基礎とする防災意識の向上をめざした。参加者およびサポートの大学生らによると, 概ねポジティブな評価を得ることができ, 個人で可能な防災対策実施への意向を確認できた。この実践をもとに, 学会発表を行い, 論文を投稿中である。
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