研究概要 |
本研究では,河成扇状地も沖積扇状地であるとする際に議論となる巨大扇状地の位置づけを、明確にして,湿潤地域の河成扇状地も沖積扇状地であることを世界の扇状地研究層者に再認識させることを目的としている。 2007年のカナダでの扇状地会議で,「湿潤地域の河成扇状地も沖積扇状地である」ことを主張し,扇状地研究者には認められた。さらに,2007年度には,巨大扇状地であるインド・ネパールに広がるコシ川扇状地を調査し,沖積扇状地である可能性が高いことを明らかにした。勾配がさらに緩く沖積扇状地であるかどうか議論の対象となっているアフリカ南部ボツワナのオカバンゴ「扇状地」についで,陸上部および湿地域の堆積物を車・ボートを用いて調査した。さらに,空からも観察した。その結果,砂質堆積物からなる地形であり,また,砂の主な堆積が植物のトラップによるものであることが明らかになった。これらの特徴は,まさしくデルタであり,オカバンゴ「扇状地」は,扇状地ではないことを確信した。ただし,集水域面積と扇状地面積との関係式上では,相対的に規模の大きい扇状地の関係式の延長線上にあり,関係式上では否定できなかった。しかし,相対的に規模の大きい扇状地の関係式が,そもそも正しいのか新たな検討課題であることが明らかになった。これらのことを,10月に函館で開催された地形学関係の学会で発表し,また埼玉大学教育学部地理学研究報告でも報告した。また,沖積扇状の可能性は低いが,議論の対象となっている黄河扇状地も調査した。
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