研究概要 |
経済活動のグローバル化は,農牧業のような比較劣位産業には農産物輸入の急増という形でマイナスの影響を与え,近年は食料自給率の低下がより顕著になっている。しかし,農牧業が地域産業として重要な国土の「周辺地域」では,土地利用型の部門を中心にグローバル化へ対抗しながら,自立した産地の形成を目指す動きがみられる。本研究では,このような事例として南九州と北海道東部の畜産業(肉用牛)を取りあげ,(1)その成長の経緯と地域的要因,(2)今後の更なる発展を促すための条件,(3)必要な政策課題,などを明らかにすることを目的とした。 そのための具体的研究課題として掲げたのは,(1)経済活動のグローバル化に伴う牛肉輸入の量的・質的変化の実態解明,(2)牛肉輸入の拡大を主導した流通業者(商社・小売業者・外食産業)の行動・役割の実態解明,(3)わが国肉用牛産地の地域的特徴と自由化実施・BSE問題発生後の価格変動への地域的対応の実態解明,(4)わが国周辺地域の大規模肉用牛産地におけるグローバル化への対抗策と自立に向けた取組みの実態解明,の4点である。
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