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2009 年度 実績報告書

東アジアにおける湖沼と干潟の環境問題と共有資源の管理システム

研究課題

研究課題/領域番号 19500883
研究機関広島大学

研究代表者

淺野 敏久  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (00284125)

研究分担者 伊藤 達也  法政大学, 文学部, 教授 (60223161)
金 どう哲  岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (10281974)
平井 幸弘  駒澤大学, 文学部, 教授 (30181134)
キーワード東アジア / 中国 / 太湖 / 富栄養化 / 環境問題 / 資源管理
研究概要

本研究は東アジアの湖沼・干潟の環境問題とその問題状況下での資源管理システムに関する調査を行うことを目的にしている。平成21年度は,中国太湖の富栄養化問題とそれへの対応に関して現地調査を行うとともに,3カ年の調査結果を総括した。
上海に近い無錫市は経済成長スピードの速い中国の中でも特に著しい成長を遂げている地域であるが,その成長の負の影響を深刻に受けているのが太湖である。流域内の工場の急増,人口増加と生活様式の変化などにより,富栄養化深刻化している。2007年には藍藻類(アオコ)が大発生し,大規模な利水障害が生じ,世界的な注目を集めた。その後,無錫市は,浙江省や中央政府の強力なバックアップのもとで,富栄養化対策を急速に進めている。その対応として,日本では例をみない規模で流域内中小工場の閉鎖や水産養殖,畜産業者の廃業なども行っている。そして,環境の改善が新たな都市開発を促すことにつながっている(一種のジェントリフィケーションともいえる)点が日本ではあまりない展開である。
本研究では3カ年かけて,日韓中越各国の水環境問題の現場を限られた事例であるが調査を行った。その結果,湖沼や干潟の環境保全や資源利用において,市民からの要望や市民による活動が影響力(管理や利用のあり方を決める際の市民運動の影響力)の有無(日韓と中越の差)が施策化速度の違いとして現れること,環境対策と都市開発・地域開発との結びつきの強弱(それが連動する中国と,環境対策が環境対策として行われる日本,その中間に位置する韓国)が環境対策をとる行政の姿勢を左右することなどが,比較の際に重要な視点になることがわかった。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The role of traditional fishermen communities and related changes in natural resource management of the Tam Giang Lagoon, Vietnam2010

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Huu NGU, KIM Doo-Chul
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Science for Sustainable Society 4(受理済み)

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤達也
    • 雑誌名

      公共事業をめぐる状況と住民運動、山本佳世子編『市民参加からの地域環境学』(古今書院)

      ページ: 33-54

  • [雑誌論文] 福山市の地域組織・住民活動の現状と課題2009

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久
    • 雑誌名

      日本研究(広島大) 22

      ページ: 1-22

  • [雑誌論文] ベトナムのラグーンで何が起こっているのか?2009

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘
    • 雑誌名

      地理 54(8)

      ページ: 95-105

  • [雑誌論文] 霞ヶ浦における湖岸の自然再生への取り組み2009

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘
    • 雑誌名

      霞ヶ浦研究 12

      ページ: 8-17

  • [雑誌論文] 環境問題論争における空間スケールに応じた争点の相異と運動の連帯―韓国・セマングム干拓問題を事例として2009

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久・金〓哲・伊藤達也・平井幸弘
    • 雑誌名

      地理学評論 82

      ページ: 277-299

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rural poverty and livelihood changes under the aquacultural development around Tam Giang lagoon, Central Vietnam2009

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Huu NGU, KIM Doo-Chul
    • 雑誌名

      Geographical review of Japan B 81

      ページ: 1-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久
    • 雑誌名

      市民・住民運動を通じてとらえる環境問題, 竹中克之他編『人文地理学』(ミネルヴァ書房)

      ページ: 251-270

  • [学会発表] 水環境保全運動の展開と連帯2010

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久
    • 学会等名
      日本地理学会2010年春季大会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] 流域概念の多義性と水問題2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤達也
    • 学会等名
      日本地理学会2010年春季大会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] 木曽川河川水利システムの課題-低水管理における河川維持用水, 農業用水の位置づけ-2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤達也
    • 学会等名
      未来設計イニシアチブ/水の研究会
    • 発表場所
      総合地球環境学研究所
    • 年月日
      2010-01-19
  • [学会発表] 開発反対運動とシンボル動物2009

    • 著者名/発表者名
      淺野敏久
    • 学会等名
      地理科学学会2009年秋季大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2009-11-28
  • [学会発表] 汽水湖における地球温暖化・海面上昇の影響とその対応2009

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘
    • 学会等名
      汽水域研究会
    • 発表場所
      松江市くにびきメッセ
    • 年月日
      2009-11-01
  • [学会発表] 地形学から見た湖沼沿岸帯の再生と課題2009

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘
    • 学会等名
      河川整備基金助成事業シンポジウム「湖沼沿岸帯の構造と機能」
    • 発表場所
      土浦市, 霞ヶ浦環境科学センター
    • 年月日
      2009-10-18
  • [図書] 温暖化と自然災害―世界の六つの現場から2009

    • 著者名/発表者名
      平井幸弘・青木賢人編
    • 総ページ数
      155
    • 出版者
      古今書院

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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