研究概要 |
関東平野において,火山灰編年学的手法により地形と地下地質の構造を明らかにし,その平野形成モデルを構築するため,平成19年度は,以下の研究を行った.町田市2地点と多摩市1点のコアで,既に東京都土木技術センターにおいて局部試料として保存されているテフラ試料の分析を予察的に行った.扱ったテフラ全てに対して超音波洗浄器による洗浄を施し,その後,実体顕微鏡を用いて斑晶鉱物・火山ガラスの観察を行った.それらの中,火山ガラスが卓越するガラス質火山灰層5試料(町田南コアで4点,多摩コアで1点)については,温度変化型屈折率測定装置とエネルギー分散型X線分析装置を用いた火山ガラス・斑晶鉱物の屈折率測定と火山ガラスの主成分化学組成分析を行なった.その結果,町田南コアの試料については,当該地域における既存研究から推定されるよりも年代の新しいテフラ層の存在を示唆する結果が得られた.この結果の確実度を高めるため,充分な火山ガラスを確保できると判断された試料については,微量成分化学組成測定を目的としたICP分析を行うため,その準備段階として外部委託により,火山ガラスの純化作業を実施した.また,町田市の2地点間において同一テフラとみられるテフラが複数検出された.それらの2地点間における深度はほぼ同じであったが,既存研究からは同地域には溝ノロ向斜が存在し,南東方向への傾きが予想され,コアの予察結果とは矛盾する.さらに本年度は,今後コアから検出が予想されるテフラの模式試料として,多摩丘陵に加え,房総半島,銚子地域においてテフラ試料の採取を実施した.
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