研究概要 |
関平野において,火山灰編学的手法により地形と地下地質の構造を明らかにし,その平野形成モデルを構築するため,平成20年度は,以下の研究を行った.町田市の町田南コア505m分,町田コア265m分,稲城コア100m分それぞれの堆積物・テフラ記載とテフラ試料の採取,東京都土木技術センターにおいて局部試料として保存されている稲城コアのテフラ試料の記載・採取を行った.扱ったテフラ全てに対して超音波洗浄器による洗浄を施し,その後,実体顕微鏡を用いて斑晶鉱物・火山ガラスの観察を行った.それらの中,火山ガラスが卓越するガラス質火山灰層試料については,温度変化型屈折率測定装置とエネルギー分散型X線分析装置を用いた火山ガラス・斑晶鉱物の屈折率測定と火山ガラスの主成分化学組成分析を行なった.また,微量成分化学組成測定を目的としたICP分析を外部委託により行った。その結果,町田南コアの試料については4枚の既知のテフラ(Kd23,Kd24,Kd25,津池火山灰層)との対比が示唆され,このうち3テフラについては前年度の予察結果とは異なる結果となった.町田コアにっいては,上記の結果を支持する1テフラ(Kd24)の対比がなされた.また,未知のテフラであるが2地点間において同一テフラとみられるテフラが昨年度2枚検出されたが,その結果を補強するデータが得られた,稲城コアのテフラについてはほぼ対比確実と見られるテフラが1枚,また,幾つかの対比候補が絞られたテフラが1枚得られた,今後の課題として,町田コアと稲城コアの未観察部分を本年度と同じ手法を用いて調査する必要がある.
|