ヒト言語も鳴禽類の発声学習も、自らの声を出して、記憶した音声パターンに徐々に修正していく。音声発声学習において、発声という自発的行動が重要な意味をもつと考え、ソングバードの発声行動により誘導される遺伝子群の網羅的な同定を目指した。その結果、「発声行動依存的」+「神経回路特異的」+「学習臨界期限定性」を兼ね備えた遺伝子群の同定に成功した。これら遺伝子群の発達段階・環境に即した脳内の多段階発現(時空間)制御が学習臨界期をもつ発声学習に重要な物質的基盤の一つであると考えている。 現在、これらの遺伝子群の脳内機能を検証すべく、レンチウイルス発現系を用いた異所的遺伝子発現実験を進めている。今後、音声発声学習および生成行動への影響を検証していく予定である。
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