エアロゾル吸収係数測定装置の精度向上のために必要な吸引空気流量の定流量化を行なった。これに関しては2つの方法をとった。1つ目は市販の定流量ポンプの連続運転試験であり、2つ目が測定装置自身の定流量化である。市販の定流量ポンプは長期運転仕様ではないため、連続運転試験を行ない、吸収係数測定に十分な定流量になっていること、少なくとも3ヶ月程度の連続運転では問題がないことを確認した。測定装置の定流量化は装置内に既存するコントローラを利用し、測定装置内に格納可能な形で行なった。吸収係数精度向上には十分であることを確認し、数ケ月の連続運転を行なった。流量変動が激しい場合などに、機械的駆動部の磨耗により制御が困難になる可能性があったため、今後改良が必要であることがわかった。 得られた吸収係数データをリアルタイムで収集するために必要なシステムの開発を行なった。これは、エアロゾル吸収係数測定装置から1分毎に送信されるデータを受信し、1時間毎にファイルを作成後電子メールに添付し送信するシステムで、Windows mobileをOSとする携帯端末上で開発した。このシステムは従来データ受信用パソコンとデータ送信用通信機器を一体化したものであり、従来の方法よりも経費の大幅削減が可能となった。このシステムはシリアルデータを送信する他の一般的な測定機器にも応用可能であり、今後活用が期待される。このシステムと吸収係数測定装置のセット5つによる3ヶ月連続測定試験を行ない、開発したシステム自身に問題がないことを確認した。ただし、携帯端末によっていくつかのトラブルが発生することがあるため、実際運用する場合には実機のハードウェア試験が必要であることがわかった。
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