研究概要 |
降水中水銀および大気中ガス状原子水銀の観測を継続するとともに,大気中粒子状水銀に関する検討も行った。 【降水中水銀】富山県富山市および射水市にて降雨を採取し,これに含まれる全水銀を定量してデータを蓄積した。直線距離にして約7km程度しか離れていない2点での全水銀濃度は一致せず,またいずれの地点においても降雨イベントごとに全水銀濃度が変動することがあらためて確認された。 【大気中ガス状原子水銀】富山県小矢部市,高岡市,射水市,富山市,魚津市ならびに黒部市の6地点において,月1回,24時間×4日間の多点観測を実施したところ,観測地点によりガス状原子水銀濃度が異なること,4日間の濃度変動挙動は各地点で異なる場合が多いこと,などが明らかとなった。なお,変動挙動と風向・風速との間に明確な相関は認められなかった。 【粒子状水銀】富山市と射水市において,ローボリュームエアーサンプラーを用いて3〜10日間大気中エアロゾルを分級捕集し,粒子径ごとの全水銀を定量したところ,採取期間ならびに採取地点によりその分布が大きく異なることが明らかとなった。各粒子径における水溶性主要成分量との相関について検討したところ,ある採取期間の水銀の分布はNa, SO4, NO3などとの相関が認められる場合があったものの,それ以外では明確な相関を見出すことができなかった。 【アウトリーチ活動】一般市民に公開することを目的として,本研究成果の一部をアースデイとやま2008(2008年6月15日,富山市)にてポスター発表した(加賀谷,富山大学での定点観測からわかってきた富山市の大気・降水に含まれる水銀の現状.ポスター人気投票にて第一位を獲得)。
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