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2008 年度 実績報告書

干潟土壌プロテアーゼに焦点化した干潟生態系の基盤形成に係わる研究

研究課題

研究課題/領域番号 19510012
研究機関県立広島大学

研究代表者

中村 健一  県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50094694)

研究分担者 奥野 誠  東京大学, 総合学術研究科, 準教授 (40143325)
キーワード干潟 / 微生物 / プロテアーゼ / 有機物負荷 / 分泌酵素 / 植物プランクトン / 窒素循環 / 電気泳動法
研究概要

平成20年度は,本研究課題において最も重要な,干潟成分分布調査と底質プロテアーゼの関係を検討することであった。入念に予備実験を行ったことにより,プロテアーゼ活性測定法の検討とGPSを用いた生物分布調査が順調にすすみ,対象とした賀茂川過去干潟においてプロテアーゼ活性のコンターマップとアマモ,コアマモなどの優占種の生息分布図を作成することができた。さらに底質の有機炭素,窒素量とプロテアーゼ活性値の相関を検討した結果,土壌中の負荷有機物量とプロテアーゼ活性の間に統計的に有意な相関を認めることができた。さらにこの結果を踏まえ,土壌にタンパク質,脂肪酸,デンプンを負荷した結果,タンパク質を負荷した場合においてのみ,プロテアーゼ活性が好気的環境下において約3倍も増加することが明らかになった。
さらに本研究で開発した土壌プロテアーゼの電気泳動分離分析の結果,活性の増加に伴って特定のプロテアーゼが誘導されることを捉えることができた。以上の結果,土壌へのタンパク質の添加は,限定されたプロテアーゼ分泌を誘導する事実を証明することができた。
また本研究と並行して海洋の植物プランクトンの加水分解酵素の検出も行った。すなわち21種の植物プランクトンを培養した結果,培養液中にプロテアーゼ活性を認めることができた。さらに電気泳動的に複数のプロテアーゼの存在を認めることができた。
すなわち干潟には底質微生物のみならず,海洋水中の一次生産者にあたる植物プランクトンからもプロテアーゼが分泌され窒素代謝の始原となるタンパク質の加水分解がなされている実態を捉えることができた。
したがって本年度の成果は,今まで論じられてきた窒素循環代謝活動に,植物プランクトンの関与という新たな側面を提起することになったと言える。なおこの結果は複数の論文としてまとめており,その一方は現在投稿する段階にある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 賀茂川河口干潟を対象とした底質プロテアーゼ分析とその生化学的特性2009

    • 著者名/発表者名
      中村健一, 中尾陽介, 内藤佳奈子
    • 学会等名
      日本水環境学会
    • 発表場所
      山口大学
    • 年月日
      20090300
  • [学会発表] 藻類産生プロテアーゼの検出と生化学的特性2009

    • 著者名/発表者名
      内藤佳奈子, 高瀬真希, 今井一郎, 中村健一
    • 学会等名
      日本藻類学会第33大会
    • 発表場所
      琉球大学
    • 年月日
      20090300
  • [学会発表] Iron utilizaion and biochemical properties of red tide-causing microalgae WFC2008 5th.2008

    • 著者名/発表者名
      Kanako Naito
    • 学会等名
      The 5th World Fisheries Congress
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2008-10-21

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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