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2008 年度 実績報告書

畑地流域の表流水に係わる窒素化合物の計測、動態、制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19510013
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

永淵 修  滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30383483)

キーワード畑地 / 肥料 / 硝酸性窒素汚染 / 窒素同位体比 / 酸素同位体比
研究概要

20年度は畑地から湧出する浸透水について重点的に調査を行った。(1)は台地上に畑地及び畜産施設を持つサイト(2)は台地上に畑地しかないサイトを選んだ。(1)の台地は右岸側に一部神社がありその部分は耕地開発の以前の台地の形態をしており、その後方に畑地と畜産施設がある。一方、左岸側の台地は畑地と畜産施設のみである。ここでの侵出水の硝酸性窒素濃度は、右岸側の神社下では0.5ng/L前後であり、後方の畑地下では8mg/L前後の値を示した。左岸側では上流から下流にかけて7.2〜11mg/Lの高い値を示した。また、9月から12月にかけて侵出水中の硝酸性窒素濃度が上昇していたが、これは高田川本流と同じ挙動であり、流域内での同一の環境変化(肥料散布等)が考えられる。しかし、窒素同位体比だけの結果からは高硝酸性窒素の起源が畑地の肥料由来か畜産廃棄物かは明確に区分できなかった。そこで(2)台地上に畜産施設のない調査地点での侵出水の調査を行った。調査期間は9月〜12月である。9月19日から20日の総降水量84.5mmの降雨時の侵出水の流量変化をみると降雨ピークとは若干時間遅れはあるが、かなり早い時期に流量ピークは認められた。その時の硝酸性窒素負荷量は、降雨上昇期と下降期に認められた。しかし、硝酸性窒素濃度は降雨初期に若干上昇(31mg/L→32mg/L)するものの、降雨中は28mg/L程度まで下降した。一方、溶存有機態窒素が降雨初期に1mg/L程度であったものが2mg/Lまで上昇した。このことから、降雨に伴い、畑地表層部分にある有機窒素成分が硝化される前に流出している可能性を示している。すなわち畑地に存在する窒素成分は降雨時には、今まで予測されていたよりかなり早い段階で環境中に流出していることが示唆された。また、11月初旬から総窒素に対する硝酸性窒素の割合が減少し、溶存有機態窒素の割合が増加している。この時期、畑地ではキャベツの植え付け時期で、施肥が盛んに行われている。このことは9月の降雨時と同じで畑地に散布された有機態窒素がかなり早い段階で流出していることを示しており、窒素成分の畑地での滞留時間がかなり短いことを示唆している。さらに11月の硝酸性窒素の窒素同位体比、酸素同位対比から硝酸性窒素の起源は、堆肥の可能性が高いことが示唆された。これらを総合的に判断すると高田川の硝酸性窒素汚染の起源は畑地に散布される肥料である可能性が大きい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Extremely high concentration of nitrate nitrogen in stream associated with vegetable fields in metoropolitan, Japan2008

    • 著者名/発表者名
      K. Yokota, O. Nagafuchi, K. Ayukawa
    • 雑誌名

      Journal of Ecotechnology Research Vol. 14

      ページ: 75

    • 査読あり
  • [学会発表] 上地利用による湧水中の硝酸性窒素の動態2009

    • 著者名/発表者名
      横田久里子, 大西克弥, 田幡祐基, 永淵修
    • 学会等名
      日本水環境学会43回年会
    • 発表場所
      山口大学
    • 年月日
      2009-03-16
  • [学会発表] 高田川流域の硝酸性窒素流出過程の検討2008

    • 著者名/発表者名
      永淵修, 横田久里子, 大西克弥, 鮎川和泰
    • 学会等名
      日本陸水学会第73回大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2008-10-13

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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