研究課題
基盤研究(C)
雲粒核に関する集中観測を2008年2月18日から4月5日までの期間、国立環境研究所沖縄辺戸岬大気・エアロゾル観測ステーションで実施した。ブラウン雲としては、中国華南地方などを起源とし、硫酸イオン、黒色炭素(ブラックカーボン)、有機物質、アンモニウムイオンなどを主成分とするエアロゾルがしばしば観測された。これらの粒径分布は長時間海上浮遊に伴って成長したミクロンサイズのエアロゾル粒子を多数含んでいた。雲粒核数濃度は主に北北西風下でエアロゾル数濃度、ブラックカーボン濃度、硫酸イオン濃度などと良い相関関係を示した。また、雲粒核数濃度はしばしば中国華南地方などを起源とする大気汚染物質によって急増することが見出された。さらに、観測地点における雲粒核数濃度の変動を人工衛星MODIS 資料解析による高度-雲の光学的厚さと高度-雲粒の光学的有効半径との関係を調べ、ブラウン雲に起因する雲粒核が下層雲の微物理学的性質に及ぼす影響を研究した。その結果、下層雲の形成段階で高濃度の雲粒核数濃度は雲粒数濃度の増加さらに有効半径の減少に大きな影響を及ぼすが、発達期或いは衰退期への変質段階では、その影響が次第に弱まる可能性が推定された。
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