研究課題/領域番号 |
19510021
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
石井 雅男 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (70354553)
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研究分担者 |
時枝 隆之 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (90354555)
中野 俊也 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 主任研究官 (40354550)
笹野 大輔 地球化学研究部, 研究官 (10462524)
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キーワード | 北太平洋 / 溶存酸素 / 物質循環 / 海洋観測 / 気候変化 |
研究概要 |
1.北太平洋の東経137線と東経165度線において、気象庁や他機関によって取得された溶存酸素濃度を含む海洋観測データを収集した。採水や分析の失敗に起因すると考えられる異常値を統計的に削除する手法を考案して品質評価を行い、長期変動の解析に耐える高品質のデータベースを作成した。データベースの鉛直各層データを水深や海水密度に対して内挿し、赤道域から亜寒帯域に及ぶ広域において、緯度1度ごと、ポテンシャル密度0.1度ごとに、溶存酸素濃度の変動を明らかにした。東経165度では、北太平洋中層水域において、過去約15年間に溶存酸素濃度が顕著に減少していることと、溶存酸素の減少と塩分の増加に良い相関のあることが分かった。このことから、この水域の酸素濃度の減少は、オホーツク海起源承の寄与の減少と、亜寒帯循環域もしくは亜熱帯起源水の寄与の増加に起因し、何らかの気候場の変化が海洋物質循環に顕著な影響を及ぼしていると推定された。南半球亜熱帯域を主な起源とする赤道潜流域でも溶存酸素の顕著な減少が検出できた。東経137度では、北緯17度以北の亜熱帯循環域のポテンシャル密度25.5付近において、2000年頃以降に溶存酸素濃度が顕著に減少していることが判った。 2.凌風丸07-10航海において、溶存酸素センサーの性能試験を行った。その結果、最近、国内のメーカーで開発された新製品が、応答性の速さにおいて従来の海外メーカーの製品よりはるかに高い性能を有し、海洋観測においても実用できることが分かった。各層採水による不連続だが正確な分析と並行して使用することで鉛直的に連続した高精度のデータが取得でき、本研究における各層溶存酸素データの内挿誤差の評価や長期変動の把握だけでなく、表層における生物生産・分解の把握や、物質循環モデルの検証にも極めて有効なことが分かった。
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