研究課題/領域番号 |
19510022
|
研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
財前 祐二 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (70354496)
|
研究分担者 |
高橋 宙 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 研究官 (80354497)
酒井 哲 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 研究官 (00377988)
皆巳 幸也 石川県立大学, 生物資源環境学部・環境科学科, 准教授 (90290080)
|
キーワード | 黄砂 / エアロゾル / 光散乱 / 化学反応 / 吸湿特性 / 東アジア / 等圧法 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
平成20年2月末から石川県宝達山麓の石川県立大学付属農場において、エアロゾル粒径分布などの関連項目の試験観測を開始、同3月末からは宝達山頂にて黄砂粒子サンプル採取と関連項目の測定を開始し、5月中旬まで続けた。期間中大きな黄砂イベントはなく、弱い黄砂が観測されたのみであった。このため、平成20年の春季は、道路除雪を待たずにサンプル採取を開始した。また、積雪前(11月)に物置部品を山頂に保管しておいて、雪解け前の2月中旬に機材を人力で運び上げて、再びサンプル採取を開始した。3月中旬に比較的強い黄砂イベントがあり、サンプルが得られた。今後、平成21年6月まで続けてから撤収する予定である。 採取したサンプルを用いて、水透析前後の形態観察とEDXによる元素組成分析を行った。黄砂粒子の約半数が水溶性成分を含んでいた。水溶性物質の体積混合率と含有元素組成の間に関係が見られ、最も混合率が高い水溶性成分は硫酸塩または硫酸であると示唆された。また、黄砂の濃度が高いときは、相対的に水溶性成分が少なくなるため、内部混合粒子の比率が低くなることが示唆された。また、降水の成分分析から、黄砂粒子やフライアッシュなど、大陸域が発生源と思われる不溶性成分が宝達山頂における降水に取り込まれていることが示された。 等圧法で湿度による膨張特性を測定することを試みたところ、電子顕微鏡による分析結果と相反して、吸湿膨張は全く見られなかった。現在の機器での気密レベルでは、検出することは難しく、今後、完全な気密性を確保するため装置を改良する。
|