研究概要 |
宍道湖,中海の植物プランクトンの長期動態解析をすすめるために,研究室に保存されていた1960年代からの宍道湖,中海の試料を10mlの管瓶に移し標本箱に納め,今後の研究に利用可能な状態とした。これらの試料について分類学的検討を進め,種名を改めたり,出現時期を修正した。ピコプランクトンの藍Synechocystis sp.(径1μm)は1990年代に優占することが報告されているが,古い保存試料を観察した結果,1966年当時からたびたび宍道湖で出現していることが明かとなった。本種は微細なため見逃されていた可能性が高い。1974年以降,中海で赤潮を引き起こした渦鞭毛藻類Prorocentrum minimumが2005年以降,優占することが少なくなったことは本水系のプランクトン動態の中で注目すべき点である。中海の微小珪藻ついてSEM観察を行い,その中の一種はChaetoceros minimusであることを明らかにした。本水系で出現に季節性のある種として,緑藻M. contortum,緑Pseudodictyosphaerium minusculum他数種が抽出された。宍道湖のカビ臭研究のため,藍藻Coelosphaerium kuetzingianumなど4種類を培養株として保存した。出現種約180種について,写真と記載分を作成しホームページで公開の準備を進めた。
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