研究課題
平成19年度においては、先ず大気PIXEのための物理量の測定・計算が行われ、真空PIXEと同等の精度での定量分析が可能となった(国際誌に掲載済)。次に、4検出器(真空PIXEのためのSi(Li)2台・Ge1台と、大気PIXEのためのSi(Li)1台)を同時に用いたデータ収集システムが整備され、真空・大気同時分析システムのためのハードウェアが整えられた。さらに、同時分析のためのビーム輸送システムの改良が行われ、最適な測定条件を与える輸送パラメータが確立された。同時分析時における真空、大気それぞれの測定条件が検討され、それぞれ単独測定の際の条件と同等の条件が得られることが確認できた。また、種々の標準試料を用いて、同時分析時における定量精度・感度が単独分析と同等であることが確認された。続いて真空PIXEにおいて確立されている「毛髪試料に対する無標準・無調製法」が大気PIXEに対しても確立され、同時分析開発の報告とともに、2編の論文として国際誌に投稿された。血清・尿など、他の試料に関しても、「大気PIXEにおける無調製。無標準法」の開発が進められている。このように真空・大気同時分析の方法論、システムが全て整えられ、一部の環境試料の測定が本システムにより開始されている。CCOP(東・東南アジア地球科学計画調整委員会)から委託された試料の分析もすでに開始され、モンゴル、フィリピン、インドにおける小規模金鉱山従事者の、有害重金属曝露評価が行われている。当施設においては、年間1万試料の割合で国内共同利用研究に関わる分析が行われ、国際環境協力のためのマシンタイムをとる事が困難だったが、本採択研究により、マシンタイムの問題がほぼ解決され、国際環境協力を行う環境が整備された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Int'l Journal of PIXE 17-1,2
ページ: 1-10
Int'l Journal of PIXE 17-203
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