研究分担者 |
萩原 啓美 横浜桐蔭大学, 医用工学部, 教授 (90189465)
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 教授 (80188284)
新井 雅隆 群馬大学, 工学部, 教授 (80112176)
西 芳寛 久留米大学, 医学部, 講師 (20352122)
長谷川 豪 久留米大学, 医学部, 助教 (80383751)
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研究概要 |
In vivo実験では,3週齢の雄性マウスに粒径14nmのPrintex90及びQdot(10μl/50μg/dayを3日,7日,14日間鼻部暴露した。その結果,マウスの嗅球を含む鼻部電顕像から,14日群では3日及び7日間投与群で観察されなかった外顆粒層〜分子層に粒子を認めた。この結果は,微小粒子が嗅球を介して大脳に移行できる可能性を示していた。しかしながら,外顆粒層〜分子層よりさらに深部には,ナノ粒子を観察できなかったことから,嗅球深部でのマクロファージによる粒子除去機構の存在が推測された。嗅球組織mRNAを用いた分子レベルでの検討では,TNF-αを始めとする炎症性サイトカインmRNA発現量の明確な増減は認めなかった。一方,嗅球内の神経細胞及びニューロン間のシナプス伝達に与えるナノ粒子の影響を,新生児マウス嗅神経を培養して自己回帰シナプスを形成させ,電気膜的膜特性及び活動電位誘起シナプス電流あるいは微小シナプス電流をパッチクランプ法により検討した。その結果,粒径14nmの酸化チタンは,低濃度では微小シナプス電流の振幅を増大させたが,高濃度刺激下では活動電位誘導シナプス電流と微小シナプス電流を認めず,形成したオータプスの消失が示唆された。この結果は,酸化チタンが神経毒性を有することに加えて,高濃度下ではニューロンのNaチャネル密度の低下を引き起こす細胞膜変性をきたす可能性が示された。
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