本研究では、先進国の温室効果ガス排出削減の数値目標を求めた京都議定書目標(1990年比で温室効果ガス排出量を2008-2012年の5年間平均に対して6%削減)の遵守という目的で目本政府が行っている、1)温暖化対策の国内施策としての省エネなどに対する補助金政策、2)温暖化対策の国外施策としての京都メカニズム活用政策、の二つに関して、コスト効果性(単位温室効果ガス排出削減量あたりの排出削減コスト)を中心にした経済性評価を行うことを目的としている。これによって、現在の日本政府施策の経済合理性を明らかにすると同時に、将来あるべき日本政府の具体的な温暖化政策(国内と国外の両方)について提言する。まず、本年度は、カーボンクレジットに関する世界的な需給状況を把握した。次に、1)日本政府の温暖化対策予算および削減効果予測、2)日本経団連の自主的取り組みで各企業が約束した量、3)各日本企業の実際の排出量、4)各企業がすでに調達したクレジット量、5)ブローカーが保持しているクレジット量や日本政府や日本企業に対してではなく海外のバイヤーへ転売する可能性の大きさ、6)京都メカニズムに関する全般的な課題、7)国内排出量取引制度が持つ課題、8)環境省自主的排出量取引制度での取引の実態、などに関して省庁の担当者や市場関係者にインタビュー調査を行い、日本企業(企業別と産業別)および日本政府が目標遵守のために現実的に必要なクレジット調達量の推計などを行った。
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