研究概要 |
21年度は,主として以下の3点を実施した. 1.国内を中心に地域における農業生物多様性が地域振興の枠組みの中で持続的に管理されている事例の組織制度に関する構成要素の抽出を行った. 2.「保全品種」の概念およびそれにともなって構築されつつある組織制度が社会環境管理能力にどのように影響するかについて主に文献整理を行った. 3.先進国・途上国とわが国の在来品種利用の組織制度・ステークホルダー間の関係性の比較検討を行い,より総合的かつ持続的な組織制度の要素を抽出した.結果として,ローカルな遺伝資源管理事業が,実は数多くの地域内外の関係者と水平・垂直のネットワークを構築していることが明らかにされた,今後,具体的にどのような要素が,そのような組織制度の持続性・発展性を担保するかを明らかにしていくことが必要であると結論した. 上記1~3について,平成21年11月21日から22日かけて研究会を開催し,研究協力者の江頭宏昌山形大学農学部准教授を含めて情報共有を行った.当日の講演内容(8本)はフルペーパーを「地域の生物多様性と社会的管理能力構築研究会」講演要旨として印刷した.種子をめぐる組織制度に関する研究視点の多様性を提示する基本文献となると自負している. なお,本科研費研究と並行して,21年度より三井物産環境基金助成金により,主にサブサハラアフリカにおける農業生物多様性管理の組織の多様性に関する研究を開始し,上記研究会およびブルキナファソにおける現地調査を合同で実施した.
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