本研究課題では、廃棄物処理プロセスの特徴を把握し、より良い廃棄物処理とリサイクルのための政策評価の方法を探ることを目的としている。H19年度の研究期間では、1)2000年度版東京都地域間廃棄物産業連関表の作表、2)農村部が主体の地域のモデリングと作表、3)廃棄物の広域移動および運搬モデルの考慮、4)作表プログラムの作成、および5)対応する資料の収集・電子化・処理を目標としていた。これに対しH19年度における実績では、3)、5)が達成され、4)が80%ほど達成されている。1)については年度をまたがって続行中であり、2)については進行中で作表にはまだ着手していない段階である。H19年度における大きな実績としては、この他に2点挙げられる。東京都地域間廃棄物産業連関表を用いて家庭用生ごみ処理機を事例とした政策評価に関する研究を行った。一般に家電製品に関してはメーカーの情報公開が十分ではなく積み上げ法のLCA分析による環境負荷の推計には限界があった。それに対し、この業績により個々の機器の情報が得られない場合でも、産業連関法によるLCA分析により政策を導入した地域とそれ以外の地域に対する経済的な影響および環境負荷を評価することができた。第2の業績としては、地域廃棄物産業連関表の作表方法の確立が挙げられる。地域廃棄物産業連関表の推計に当たっては静脈部門におけるモデリングが重要である。しかし、従来の研究ではこの部分は隠れたノウハウとして蓄積されてしまっており、具体的なモデリングについて詳しく言及した文献は発表されていない。この業績では静脈部門のモデリングを明らかにすると共に、廃棄物産業連関分析における様々な問題点を指摘し提言を行った。H20年3月に行った発表をもとにその成果を論文にまとめ投稿中である。
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