地域間の様々な政策の影響を財・サービスのみならず廃棄物や環境負荷も含めて評価する手法として地域間廃棄物産業連関分析がある。平成21年度は、大きく分類して2つの研究を中心に行った。第1は、地域間廃棄物産業連関分析における推計モデルに組み込むためのサブモデルとして重要な位置を占める、複数の輸送手段を考慮した地域間廃棄物移動モデルを構築した研究である。この研究では、廃棄物が広域移動を行った際に生じる環境負荷を温暖化ガスとSO_xを対象として定量的な分析を可能とするものである。従来の研究では、輸送手段は自動車のみが検討されていたが、本研究により自動車、船舶、鉄道、航空機の4つの輸送手段を選択した場合の環境負荷を推計することができる。この地域間廃棄物移動モデルは地域間距離、廃棄物の移動量、輸送トンキロ当たりの排出係数といったデータやパラメータさえ入手できればどのような地域にも適用可能な一般性の高いモデルである。このモデルの構築により、地域において様々な政策が採用された際にそれが当該地域とその他の地域に与える影響を定量的に分析することができ、地域間廃棄物産業連関分析モデルのサブモデルとして適用し、分析や推計の精度を上げることができる。第2は地域間廃棄物産業連関分析のための作表を東京都と京都府を対象に行ったものである。東京都に関しては、2000年度版東京都地域間廃棄物産業連関表の推計作業の最終段階にあり、京都府については地域内表をべースに地域廃棄物産業連関表を推計し、その実証分析の事例として太陽光発電のLCA分析を行った。
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